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最高裁判所第三小法廷 昭和47年(し)21号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告申立書(「異議申し立て書」と題するもの)記載の抗告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴法四三三条一項の抗告理由にあたらない。

なお、所論にかんがみ、職権により調査すると、昭和四七年四月四日原審に差し出された申立人作成の同日付「抗告理由申立書」記載の主張は、準抗告申立の理由の追加として適法なものと認められるから、原決定がこれらについて判断を示さなかつたのは、違法といわなければならない。しかし、一件記録に徴すれば、本件接見等禁止の裁判が右「抗告理由申立書」に述べられているような目的に利用されたという事実はないことがうかがわれるから、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものとは認められない。

よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。(天野武一 田中二郎 下村三郎 関根小郷 坂本吉勝)

〈参考一〉抗告申立書(昭和四七年四月三日付)

四十七年三月三十日金沢簡易裁判所に於いて接見等禁止命令を受けました。

勾留とは拘禁で有り行政のしくみの一部で有ると聞いております。その上に又司法行政の請求に依り被疑者の自由を拘束する事は憲法や刑事訴訟法に定められている「個人の尊重」「被疑者の身体の安全と名よの保全」の項目に違反していると思われます。

依つて右の理由で抗告致します。尚後日念の為一部謄本を取つておきます。

昭和四十七年四月三日

〈参考二〉抗告理由申立書(昭和四七年四月四日付)

勾留の件に関しましては本日勾留理由開示の請求を致しました。従つてこの抗告は接見等禁止命令に対してで有ります。昭和四十七年三月三十日午前九時頃金沢中署かんしきの部屋でヤマグチその査二課長、カシワハラ刑事外四名に私は名前を書きハンコを押せと云われました。(何かはつきりわかりませんが、書類のようなものでした)それを断わると、身体をこずきまわされ、頭のかみの毛をもたれ机に前頭部を二回ぶつけられ、身体を投げ取ばされ、かわぐつで右手を踏みつけられました。(この時右手小指から血が出て着ていたこん色の着衣で血をふきました)

この件に関しては本日付で金沢地方検察庁へ被疑者に対する特別公務員の暴行りようぎやくで告訴状を送付しました。

これら警察側の被疑者に対する不当性をおおいかくすべールに接見禁止命令を使用したと思われます。何卒良く調査の上よろしくお願い致します。

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